香川

穏やかな瀬戸内海に抱かれ、うどん県として知られる香川県。日中は金刀比羅宮や小豆島、直島のアートといった観光を楽しむ人々でにぎわいますが、日が沈むと街はもう一つの表情を見せはじめます。夜風に潮の香りが混じる高松の街では、ネオンの灯りがゆらめき、スナックの扉が静かに開かれる‥そんな「香川の夜時間」が始まります。 香川県の夜の中心地といえば、高松市・瓦町周辺。古くから地元の社交場として親しまれてきたこのエリアには、個性豊かなスナックが軒を連ねています。路地に一歩足を踏み入れれば、ガラス戸越しに漏れるカラオケの音、そしてママの柔らかな笑顔。気取らず、けれど上品な雰囲気が漂うスナックが多く、旅人でもすぐに馴染める温かさがあります。 カウンターには、地元の銘酒「金陵」や「川鶴」、瀬戸内のレモンを使ったカクテルが並び、ママ手作りのお通しが添えられます。鰆の南蛮漬けやオリーブ地鶏の炙りといった香川らしい一品をつまみながら、常連と旅人の会話が自然と交わるのもこの街の魅力。カラオケのマイクが回ってきたら、遠慮なく一曲‥そんな気取らない楽しみ方が似合う場所です。 瓦町のほか、高松港からほど近い古馬場町界隈も人気のナイトスポット。洗練されたバーやクラブが並ぶ一方で、昭和の香りを残すスナックも健在です。小さな扉を開ければ、懐メロが流れる中、ママが気さくに声をかけてくれる。まるで久しぶりに帰った故郷のような安心感があります。お酒を酌み交わしながら、地元話に花を咲かせる時間は、旅の夜をやさしく包み込んでくれることでしょう。 また、丸亀や坂出にも隠れた名店が点在しています。丸亀駅前では、ビジネスマンが仕事帰りに立ち寄る落ち着いたスナックが多く、静かにグラスを傾けたい大人にぴったり。坂出では、瀬戸大橋を望む港町の情緒とともに、地元の常連が集う温かい雰囲気の店が並びます。観光客にも分け隔てなく接してくれるママたちの笑顔が、夜の旅をより深く印象づけてくれます。 香川のスナック文化は、派手さではなく「人とのつながり」を大切にしています。初めてでも心を許せる空気があり、気づけば隣の席の人と笑い合っている‥そんな心地よい夜が、この土地にはあります。 うどんで締める朝方まで続く夜、または静かに更けていく時間。どちらの過ごし方にも、香川らしいあたたかさが宿っています。旅の一夜、香川のスナックの扉をそっと開けば、きっとそのやわらかな人情と、瀬戸内の風があなたを迎えてくれることでしょう。さあ「スナックブック」でお気に入りのスナックを見つけて、あなたの素敵な夜の新たな物語にブックマークを♪